◇脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」のご案内
私たちは不慮の事故や病気などの脳損傷に起因する遷延性意識障がい者と家族の会です。交通事故や病気などで遷延性意識障がい(いわゆる植物状態)となった患者は動くことも、食べることも、呼びかけに応ずることも難しい寝たきりの状態であり、障がい者の中でも最も重度です。
このような患者の介護にあたる家族は、ささいな異常にも気を配り一家族の頑張りだけでは限界があります。また、意識障がいは多少改善しても重度の後遺障がいが残り深刻な介護負担や、現在介護している親・配偶者・兄弟・子等の介護者亡き後の不安を持つ家族は多くあります。各種の福祉サービスや専門的な治療に関する情報も、孤立したままでは得られにくく、仲間同士の支えあいは欠かせません。
私たちは、互いに励まし合い、助け合い、患者家族にとって少しでも支えになることを願って「家族の会」を結成しました。
皆さん、一人で悩まずみんなで語り合いましょう。
※遷延性意識障がいにつきましてはここをクリックすると更に詳細がご覧になれます。
◇設立~現在まで
わかばは1998年(平成10年)7月11日に主に交通事故等で遷延性意識障がい者になった患者(主に若年中途障がい者)を持つ家族が、互いに励まし合い、助け合い、少しでも支えになることを願い、『頭部外傷等による重度後遺障がい者と家族の会「わかば」』として結成しました。設立当初は初代代表藤井恵三子さんの家を活動場所として、ソーシャルワーカー等を含め10名程度でメンタルケアを中心に活動していました。その後、年毎に会員も増え(現在は下記の通り)、発症原因も頭部外傷の他、脳血管障害や低酸素脳症等多岐にわたり、また会員の状態像も明確にするために、2014年4月に会の名称を『脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会「わかば」』と改称いたしました。その間にニーズも多様化し、メンタルケアの他に会報の発行(年2回)、会員対象に医療・福祉・介護等の勉強会実施、厚生労働省・国土交通省等行政機関への現状の課題の訴え等も行いながら現在に至っております。2003年4月からは和田つぎゑさんが2代目代表を、2018年4月からは横山恒さんが3代目代表を務め、2024年5月からは荻田恵理が務めています。
(ご参考)
1999年9月号の岩波書店月刊誌「世界」でわかば設立時の経緯が取り上げられています。
ここをクリックするとご覧いただけます。
◇会員数(2023年3月末現在)
家族会員;180家族賛助会員;56名
わかば会員数推移 | |||
年 | 家族会員 | 賛助会員 | 計 |
2024年4月 | 180 | 56 | 236 |
2023年4月 | 186 | 64 | 250 |
2022年4月 | 196 | 76 | 272 |
2021年4月 | 206 | 72 | 278 |
2020年4月 | 214 | 71 | 285 |
2019年4月 | 204 | 67 | 271 |
2018年4月 | 213 | 65 | 278 |
2017年4月 | 197 | 63 | 260 |
2016年4月 | 184 | 57 | 241 |
2015年4月 | 173 | 51 | 224 |
2014年4月 | 154 | 41 | 195 |
2013年4月 | 148 | 39 | 187 |
2012年4月 | 140 | 33 | 173 |
2011年4月 | 136 | 30 | 166 |
2010年4月 | 142 | 33 | 175 |
2009年4月 | 108 | 23 | 131 |
2008年4月 | 96 | 20 | 116 |
2007年4月 | 77 | 17 | 94 |
2006年4月 | 73 | 20 | 93 |
2005年5月 | 75 | 24 | 99 |
2004年6月 | 72 | 29 | 101 |
2003年5月 | 69 | 29 | 98 |
2002年5月 | 72 | 27 | 99 |
2001年7月 | 63 | 24 | 87 |
2000年7月 | 53 | 22 | 75 |
1999年7月 | 35 | 12 | 47 |
1998年7月 | 4 | 7 | 11 |
【 設立 】 |
わかば会員の介護の概況/2016年3月末
はじめに
当会では2013年3月に当ホームページを立ち上げ、その際「会員の状況」として2012年3月末の家族会員の属性をグラフ化してこのページを 作成しました。その後新入会・退会もあり、変化がありましたので、2016年3月末の家族会員(182家族)を対象に新たにグラフ化し「会員の概況」 としてこのページをリニューアルいたしました。
調査方法
- 原則として現在の家族会員の入会申込書に記載してある情報を集計しました。
- 従って同申込書に記入がない事項はカウントしていませんので、分析項目毎に母数が違っております。
- 但し、(7)の「障がい当事者の生活の場」につきましては年数の経過の中で変化しますので、新たにハガキによる調査を行い、未回答者につきましては役員会にて情報交換を行った結果で集計を行いました。
(1)発症原因
【コメント】
当会の場合、交通事故が最も多い55%、スポーツ事故等その他の原因の頭部外傷が10%、計65%が頭部外傷で占めています。これは当会が 1998年に発足した時点では「頭部外傷による重度後遺障がい者と家族の会わかば」と称して今日に至っていることにも一因があると思われます。 その後、発症原因を問わず遷延性意識障がい者全体を対象として活動をしてきており、構成比で4年前と比較しますと、脳血管疾患や各種原因に よる低酸素脳症、医療過誤等病気系が発症原因の会員は25%→33%と増え、頭部外傷は69%→65%と減少しています。 なお現在は「脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の会わかば」と改称しています。
(2)障がい当事者の性別
【コメント】 当会の当事者の性別は男性64%、女性36%と男性が多い会です。これは頭部外傷の場合、男性73%:女性27%と圧倒的に男性が多く、これは交通事故が頭部外傷の85%を占めている事に起因しており、運転したり車に乗る機会が比較的多い男性の占める割合が多くなっていると思います。一方(1)発症原因でも述べた通り、病気等が原因で遷延性意識障がいになられた会員も近年増加しておりこの男女比はほぼ半々になっており、 4年前の分析と全体の構成比を比較しますと女性が30%→36%と増加し、男性が70%→64%と減少しています。この数字は3年前に全国遷延性意識障がい者・家族の会が会員アンケートした結果ともほぼ同数です。
(3)障がい当事者の発症時の年齢
【コメント】 障がい当事者の発症時の年齢を大きく分けると、頭部外傷の場合は30歳未満が68%:30歳以上が32%、病気等では30歳未満が22%、30歳以上が78%と逆数の構成比になっています。この理由は(2)でも書きましたが、交通事故等は比較的若年に受傷者が多く、病気等は比較的中高年に発症者が多いためです。 なお上述の全国遷延性意識障がい者・家族の会アンケートでも同会の平均は34歳に対し当会は35歳とほぼ同様です。
(4)障がい当事者の現在の年齢
【コメント】 (3)同様に障がい当事者の現在の年齢を大きく分けると、頭部外傷の場合は50歳未満が66%:50歳以上が34%、病気等では40歳未満が25%、40歳以上が75%と逆数の構成比になっています。これは(3)発症時の年齢でも触れた原因によるものです。なお上述の全国遷延性意識障がい者・家族の会アンケートでも同会の平均は43歳に対し当会は45歳とほぼ同様です。
(5)主たる介護者
【コメント】 主たる介護者の構成比は4年前とほぼ同数でした。また、全国遷延性意識障害者・家族の会アンケートとも大差はありませんでした。 特に頭部外傷では親が子の介護をしているケースが73%と圧倒的です。病気等では配偶者介護が45%、親が子の介護が34%となっています。 これらと(6)の介護年数、(7)の障がい当事者の現在の生活の場を合わせて考える時、「親なきあと」「配偶者なきあと」問題は切実な課題です。 介護者が病気等で介護できなくなった場合を想定し、地域での情報を取得し、早めに自治体等に相談したり、後見事務等を検討したり、各種対策を 練っておくことが必要です。
(6)発症から現在までの介護年数
【コメント】 ここで特に注目していただきたいことは10年以上介護している家族が36%、内13名(7%)の家族は20年以上介護をしており、最大は29年の方が複数名いるということです。4年前の調査では10年以上介護は31%、内20年以上が4%でしたので一層長期化していることがわかります。私たちの合言葉は「あきらめない」ですが、介護者は毎年確実に歳を重ねており、高齢化に伴い「介護者なきあと」問題がひしひしと迫ってきております。
(7)障がい当事者の生活の場
【コメント】 在宅が55%となっており、入院の33%を大きく上回っています。特にこの4年の間に在宅が進んだと思われますが、その理由としては①病院から転院を促され転院先も見つからず在宅せざるを得なくなった ②病院でのリハビリでは物足りず在宅にして家族介護も含めたリハの時間を増やしたかった ③病院で寝かせておくだけではなく在宅にしてデイサービスも含め外に出る機会を増やしたかった・・・・等々色々とあると思います。一方、グループホームが9%と大きく数字を増やしており、これは「介護者なきあと対策」の現れかと思いますが、このグループホームは殆どが神奈川県に立地するものばかりで、それ以外の県では施設入所はありましたがグループホームは殆ど回答がありませんでした。
(参考)県別家族会員数
【コメント】 当会の場合、会員は首都圏が多い事は事実ですが北海道から沖縄県までおられます。 また、当会以外にも各エリアにも遷延性意識障がいの家族会はありますので当会に限らずエリアの会に参加して情報をとったり仲間を作ったりして一人で悩んで孤立しないようにしてください。当HPの遷延性意識障がいとは?のページをご覧になりますと各エリアの家族会の一覧を掲載しておりますのでご参照ください。
家族の会「わかば」会則
下記のボタンをクリックで会則がご覧いただけます。
家族の会「わかば」パンフレット
・パンフレット「脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の皆様へ」の活用のお願い
脳損傷による遷延性意識障がい者と家族で、家族の会「わかば」をご存じなく、介護や今後の生活などで悩まれている方などへの、家族の会「わかば」への加入のお誘いに活用してください。
また、脳損傷による遷延性意識障がい者と家族以外の方にも、遷延性意識障がいの内容や、障がい者・家族の状況、家族の会「わかば」の活動をご理解いただくための一つの資材として、活用してください。
※このパンフレットを作成する場合、以下のパンフレットの①(表側)と②(裏側)で、両面印刷をして、その後2つ折りをしてください。
「脳損傷による遷延性意識障がい者と家族の皆様へ」PDF